RSIとはJ.W. ワイルダー氏が考案し、現在の相場の相対的な強弱(又は過熱感)を表す指標です。
このRSIを見る事で分かる事が主に3つあり
- 現在は売りと買いどちらが強いのか
- 買われ過ぎの水準・売られ過ぎの水準
- 安定した上昇・安定した下落
これらが分かりやすくなっています。
ここではRSIの計算式から正しい見方や使い方。そして売買サインが機能しやすい状況などを投資初心者の方でもわかりやすく解説していきます。
RSIの計算式
RSIを使用するにあたりそれがどのようにして成り立っているのかを必ず理解しておく必要があります。(細かい計算式までは覚える必要はありませんが)
RSIとは簡単に言うと設定した一定期間の価格の上昇幅(A)の合計と一定期間の下降幅の合計(B)を足し、上昇幅で割るという単純な計算をして相場の状態を効果的に表しています。
上記計算式によって出された数値が0~100の間でチャート上にグラフとして表示される仕組みになっています。
これをRSIのグラフで見るならば、右肩上がりの時はどんどん買いが強くなってきている事を示しており、逆に右肩下がりになってくると売りが強くなってきているという事を知る事が出来ます。
↓RSIを適用させたら基本的には画面下部にRSIが表示されます。
RSIの推奨設定
RSIだけに限らずどのインジケーターも最初は設置した時のデフォルトの設定が最もオススメです。
そしてここで設定する数値は何を表しているのかと言いますと、それはRSIの計算式に関係してきます。
RSIは一定期間の価格の上昇幅(A)の合計と、一定期間の下降幅の合計(B)を元に計算しますが、この一定期間の所が設定で指定した、仮に14ならローソク足14本分という事になってきます。
もしあなたが直近のローソク足30本分の状況を知りたいのであれば、設定数値を30に変更して使う事も出来ます。
↓RSIは複数表示する事も出来るので、異なる期間をそれぞれ表示させる事も可能です。
期間14に対して期間30ではなだらかな形になっていますね。
RSIの正しい見方
RSIでは下記の3点をわかりやすく知る事が出来ます。
- 現在は売りと買いどちらが強いのか
- 現在は買われ過ぎなのか?(過熱度)
- 現在は安定した上昇にあるのか?
RSIは慣れてしまえばとてもシンプルな指標なので使い勝手が良いですが、実はあまり知られていない正しい見方・考え方も存在します。
今強いのは買い?それとも売り?
一定期間の上昇幅と下降幅がまったく同じの時はRSIは50を示します。
よってRSIが50より上に位置している時は買いが強く、反対に50を下回っている時は売りが強いという判断が出来ます。
(一定期間において上昇幅の方が多ければRSIは50を超えますし、逆に下降幅の方が多ければRSIは50以下になるというシンプルな理由からそうなっています)
RSIが50を大きく下回っている縦ラインの間は売りが強いという事を示しています。
相場の過熱度も分かる
RSIは0~100までの数値で常に表しています。例えば一定期間において一度も下降せずに上昇し続けた場合はRSIは100を示します。(反対に売られ続けたらRSIは0を示す)
0や100というのは滅多に出る数値ではないのですが、日常的に出る水準として幅広く認知されているのが
- RSIが70を超えると買われすぎ
- RSIが30を下回ると売られすぎ
という事があります。これは相場の過熱度を表しています。
これを投資行動に置き換えるならば、70を超えてきたからそろそろ利確しようかな?といったあくまで判断の一つとして活用されます。
↓RSIが30や70を超えると反転した好例
実は安定上昇も分かる
トレンドと言ってもいくつかのパターンがあり、代表的な例を挙げるのであれば
- 勢いが強すぎてすぐに終わるトレンド
- 一定の上げと下げを繰り返して長く続く安定トレンド
このように分類する事が出来ます。
安定したトレンドというのは2歩進んで1歩さがるというイメージを持つと分かりやすいかもしれません。
2歩進んで一歩下がる。これを上昇トレンドで例えるなら+100円+100円-100円+100円+100円-100円と進んで行ったら、RSIの数値はどうなると思いますか?
答えは66%です。(安定した売りトレンドは33%)
●見方に関するまとめ
- RSIが50付近にいる時は売りと買いが均衡状態にある
- RSIが30や70を超えて来ると相場は過熱している状態にある
- 安定した上昇や下降は33%66%付近にある
ここまでがRSIで知っておくべき最低限の知識です。
ここからはトレード目線でよりリアルな少し上級者向けのお話に移行していきます。
RSIのダイバージェンスが発する本当のメッセージとは
RSIだけに限らずその他オシレーター系指標ではダイバージェンスという現象がトレンド終盤ではよく見られます。(ダイバージェンスとは逆行現象という意味です。)
価格は前回の高値を切り上げているのに、RSIはなぜか切り下げていますよね。これがダイバージェンスという逆行現象です。
このダイバージェンスは一体何を表しているのかと言いますと、相場の勢いが無くなってきたという事を示しているんです。
チャートを見ても、それまで上げていた上昇トレンドもダイバージェンス発生後に見事に勢いが無くなっていますね。
●ダイバージェンスが起きる仕組みを簡単に解説
例えばRSIで設定を14としていた場合、それはローソク足14本分の上昇幅と下降幅から計算しているというのはもうお分かりですよね。
ローソク足が次の足である15本目を作った時、前回まで計算に含まれていた15本前のローソク足は計算から外れてしまいます。
仮にその15本前のローソク足が凄い大きく上昇していた大陽線だったのに比べ、新しく追加された15本目のローソク足が小さい陽線だった場合、価格は高値を更新してはいるがRSIの平均値が下がるので、それが原因で実際の価格とRSIの位置が逆を向く逆行現象が起きるのです。
そしてダイバージェンスが起きるという事は、価格は前回の高値を更新こそはしているが勢いは無くなってきているというのが分かるんです。
ここでは少し上級者向けになってしまいますが、これは直近のローソク足を俯瞰的に軽く見ても分かるんです。
↓オレンジが陽線・白が陰線です。赤い丸と青い丸の中にあるそれぞれの陽線の大きさをなんとなくで良いので見てみてください。
直近の前回高値付近(赤い丸)では大きめの陽線が何本も含まれていたが、高値を更新した時の周りの陽線は小さいのが目立つ。
このように前回の高値を更新してはいるが勢いが無くなってきているというのはローソク足を見るだけでも分かるんです。
インジケーターを正しく使いたければその計算式やそれがどういう風に成りったっており、それが何を表しているのかを正しく理解する事はとても重要な事です。
しかし一度理解してしまえば、本来インジケーターは全て例外なくチャート上の価格を元に作られているので、ローソク足を見るだけで大体の事が分かってくるんですね。
最終的に私は「インジケーター要らないんじゃ?^^:」って事でMA一本だけでトレードしていますが、学んだ後で、そして知った後で捨てるというのは人間の成長過程において凄く重要な事だと思うんですね。
少し話が脱線してしまいましたが、次からはいよいよRSIの売買サインについてより一歩踏み込んだ解説をしていきます。
RSIの売買サイン
RSIでは最も典型的な売買サインとして挙げられるのが
- 70付近から売り
- 30付近から買い
この二つがあります。
これは相場が行き過ぎた事を表示しているからです。
RSIのサインを使うならば、この単純な売買サインが機能しやすい状況というのを必ず選ばなくてはいけません。
それは強いトレンドが出ていない事を必ず確認するというものです。
高値と安値がある程度定まっているレンジ状態や、方向感がまだ定まっていないノントレンド状態で機能しやすいという特徴があります。
RSIとボリンジャーバンドを使った手法
あくまで例としてここではトレード手法にRSIを活用した手法をご紹介いたします。
それはトレンドを認識してボリンジャーバンドを合わせて使う事で非常に優位性の高いトレードが可能になってきます。
↓ボリンジャーバンドの2σを表示させています。3本の黄色いラインがそれにあたり、上下にある2本のラインが2σです。(30分足)
これは全体的に見ると上昇トレンド中です。そしてボリンジャーバンドが横ばいになってきていますよね。(ボックス部分)
これは価格変動が少なくなってきた事を表しています。よって特性としましては下がったら上がりやすく、そして上がったら下がりやすい状態にあります。(ボリンジャーバンドに関する目から鱗の分析方法は記事最下部でご案内いたします)
それまでの全体の流れは上昇トレンドですから、この中で下がったら上がるという所を狙います。
ここからさらに二つほど下位足に落とし込んでその時間足でRSIが30を下回ったら買うと非常に優位性の高いトレードが可能になります。
さらにエントリーの精度を上げたいのでしたら、RSIのダイバージェンスが出た所で買うと勝率の向上も期待出来ます。
↓5分足でダイバージェンスが起きた状態でRSIは30に到達した。
●トレード根拠と状況判断の解説
30分足で上昇トレンドの調整局面であり、調整の種類は横ばい。(下がったら上がりやすい状況をボリバンで判断)
その背景の元5分足で下落の勢いが衰えてきた状態をRSIのダイバージェンスで判断し、同時に売られ過ぎの水準であるRSI30にタッチ。
これはあくまで一例ですがこのようにトレードを組み立てる事も出来ます。
↓ちなみに下記のように上昇トレンド中にRSIが70を超えたからと言って単純に逆張りをするのはまったく優位性がありません。よって基本的に負けます。
トレンド中に上手にRSIを使う方法としましては、上記のようにマルチタイムフレーム分析に使用したり、単体で使用するならエントリー根拠ではなく決済根拠に使うと良いです。
↓先ほど例としてお見せしたRSI×ボリンジャーバンドの30分足チャートです。
先程は5分足に落とし込んで矢印部分付近で買いで入っていますが、その後RSIが70を超えた赤い丸付近が利確目安になります。
RSIが30・70を超えて来るとそれは一時的な調整に入る場面が多々ありますので、決済してしまい時間効率を上げるという意識で使うと良いでしょう。(決済根拠は反対売買の新規ポジションを取る理由にはなりません。よって赤い丸付近で単純にRSIを信用して新規で売ってはいけません)
●最後に
いかがだったでしょうか。
RSIはとてもシンプルな指標であり、使える場面とその状況に合わせた使い方をしっかりと理解する事でトレーダーとして強い武器にもなります。
↓記事後半で出て来たボリンジャーバンドの使い方やその極意を知りたい方はこちらの記事がとてもおすすめです。