【怖い話|都市伝説】視力100の異常者|#002

僕は夜になると部屋から双眼鏡で色んな所を見るのが趣味でした。

家は一軒家で部屋は2階。家がある所は大きい坂が続く所なので、2階からでも結構遠くの街並みが見えたりします。

その日は家に誰もいなく僕だけだったのですが、深夜になりまた何気なく双眼鏡を使って街並みを覗いていました。

信号待ちをしている車の中に座っている人の顔を双眼鏡でアップにして見ると、運転手は一人で気持ちよく歌手になりきったかのように熱唱しているのが見えたりして、「これ誰にも見られていないと思っているんだろうなぁ」と考えると見ていてドキドキワクワクしました。

そうしてその日の深夜も色々と街並みを見ていたら、かなり坂の上の方にある自動販売機の前で一人の髪の長い女性がジュースを買う所を発見しました。

その髪は本当に長く、腰より下まで伸びていたから印象的でした。家からその自動販売機までの距離は遠く、肉眼ではうっすら自動販売機の明かりだけが見えるかなってくらいかなり遠いです。

僕はその女性を双眼鏡で見ていたのですが、その女性は自販機に小銭を入れた後、落ちて来たジュースを拾おうかとかがみ始めた途端、急にグイッっと僕の方を見てきました。

双眼鏡越しに目が合って一瞬ドキッとしましたが、絶対にあっちから僕の存在に気付ける筈もなく、どんなに目が良くても双眼鏡で覗いてる姿なんて絶対に見えるはずがありません。

その女性は僕と目が合った瞬間、今買ったジュースを取らずに物凄い勢いで坂道を全力疾走で下りこっちの方に走ってきました。「どうしたんだろう?」って思う反面、目が確かにあったような気がしたので少し怖かったです。

走り始めた女性を双眼鏡で追っていたのですが、再度その顔に向かってピントを合わせると、その女性はずっと僕を見て物凄い形相で全力疾走しています。

あっという間にこちら側に近づいてきた頃、僕は怖くなり、そろそろやめないと本当にバレてしまうから双眼鏡で見るのを辞めました。

そしてカーテンの隙間から絶対にバレないように片目だけを覗かせてその女性を監視しました。

するとその女性は僕の家の方に走ってきている気がして、自分の心臓がバクバク鳴り出したのを覚えています。

「まさかな。わかる訳がない。バレている訳がない」

そう自分に言い聞かせていましたが、いよいよ家の近くまで来た所で女性をカーテンの隙間から見るのを辞めました。これ以上見ていると本当に居場所がバレてしまうかもしれないと危機感を覚えたからです。

すると1分も経たない内に急に僕の家の玄関をダンダンダンダンッ!ってすごい強さで扉を叩くのが聞こえました。本当に凄い音がするので、2階の自分の部屋にまで聞こえてきます。

そして心の中では「さっきの女性が僕の家に来たのでは?タイミング的にもあってるし」って思うと怖くなり、恐る恐る人気を察しられないようにソーッと階段を下りて玄関の方を見ると、明らかにやはり誰かが家の扉を叩いています。

ドアを強く何度も何度も叩きながらもう片方の手はドアノブをカチャカチャカチャって開けようともしている。

あまりの恐怖に、昔学生の頃修学旅行でなんとなくノリで買った木刀を部屋から持ち出し、抱きしめながら階段の上でしゃがみ込んでいました。

すると2~3分経った頃でしょうか。その扉を叩く人は諦めたようで、そのまま2度と扉を叩かれる事はありませんでした。

あれはバレていたのでしょうか。100歩譲ってそうだったとしても、明らかに普通の人間がとる行動ではありません。

それ以来、双眼鏡で街並みを観察するのを辞めました。

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