【怖い話|人怖】狂いだした父親に実は命を狙われていた

これは私が小学生に上がる前位の幼少期の出来事です。小さい時の話なので全てを覚えている訳ではなく、後で母親から聞いた話も混ぜながらお話させて頂きます。

当時家族は私と両親と弟の4人暮らし。その出来事は私がある日の夜、弟と二人で寝ていた時に起こりました。

すっかり熟睡していた頃、夜中でしょうか。突然母親が私の部屋にきて、寝ている私の服をむりやり着替えさせて来た事があったんです。

子供といったら基本的に寝起きが良くない子が多いですが、私もその典型でとにかく寝起きが悪く、良く泣いていたと聞かされていました。

夜中寝ている時に急に母親が私を着替えさすものだから、私はぐずりだし、泣き出したそうです。そうしていると階段を上る音が聞こえてきたと思ったら、父親が部屋に入って来てこう言いました。

「明日でいい。寝かせろ」っと。とても不自然な出来事だったので、父親がそう言っていたのは私もハッキリと記憶にあります。

それを聞いた母親は私を着替えさせるのをやめ、さっきまで来ていたパジャマをまた着せ、私は眠ったそうです。

昨日の出来事は特に気にすることもなく、翌日も夜弟と二人で眠っていたのですが、また母親が部屋にやってきて私のパジャマを脱がせだし、服を着せようとしてきました。

その時は前日以上に私は深い眠りに入っていたのか、泣き出す事もなくボッーっとされるがままだったそうです。

すると着替えさせられている途中で、今度は弟が起きて激しく泣きだしました。

その声を聞いてか、また階段をのぼってくる足音と共に父親が部屋に入ってきて「明日でいい。寝かせろ」っと言って部屋を出ていきました。

そして翌日、朝早く母親に起こされ、私と弟は寝ぼけたまま車にのせられたのですが、車に乗ると私と弟はてっきり「どこか遊びに連れて行ってくれる」っと思ったのか、喜んでいたそうです。

そして後ろから見送るように手をふる父親を見て「バイバーイ!」ってニコニコしながら手を振っていたとか。そうしてそのまま車は母方の実家に到着し、その後両親はそのまま離婚をしてしまいました。その日以来父とは一度も顔を合わせる事はありませんでした。

私が中学生に入ったある日、どうして両親は離婚したのか、その原因などを母親に聞いた時、母親はこのように教えてくれました。

実はあなたたちがまだ小さい頃、あなたのお父さんは自営業をしていたんだけど仕事が上手く行っていなく、家計は本当に火の車だったの。

事業の先行きもまったく見えなくて借金に苦しんでいた時、ある日を境にお父さんは「一家心中するしかない」と言い出してくるようになった。

最初は辛いからその場の勢いでそういっているのかと思ってなだめていたんだけど、ある日の夜お父さんは「もう無理だ。子供達を着替えさせろ。」っと言ってきたの。

その時はとても嫌な気がしていたんだけど、お母さんは言われるがままとりあえず寝ているあなた達を着替えさせようとしたの。

すると最初はあなたが泣いてしまってね。それを見たお父さんは気が変わったのか「やめろ」と言ってきたからその日はやめたの。

そして翌日、夜あなた達二人が寝ていた時にお父さんと話しをしていたら、突然お父さんは包丁を持ち出し「着替えさせろ」とまた言ってきたの。

それを見たお母さんはとても怖くなってしまい、もう正気じゃないお父さんは包丁を持っているし、変に逆らって逆上したら何をするかわからなかったからとりあえず言う事を聞くふりをして、あなたを着替えさせようとしたの。

心の中ではまたあなたが泣いてくれたらお父さんは気が変わってくれるかもしれないって思っていたけど、何故かその日はあなたが泣いてくれなくてね。

「このままじゃ本当に家族全員殺されてしまう」って困り果てていたら、その時は〇〇(弟)が大きく泣いてくれてね。それでお父さんがまた諦めたのかその日はなんとか助かったの。

そしてそのまま夜が明けてすぐあなた達を車にのせ、おばあちゃんの家に逃げ込んでそのまま離婚する事にしたの。

そう母は話してくれました。

あの日車に乗った時、私は後ろからお父さんが見送りをしてくれていると思っていたのですが、実はその時父親は手に包丁を持っていて、それを振り回しながら私たちをおいかけていたそうなのです。

子供だったので手に包丁を持っているのに気づきませんでした。

あの日あの時、弟が泣いてくれなかったら私達はもしかしたら今この世にいないのかもしれません。

 



洒落怖くん洒落怖くん

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