察した子供達が選択した答え

これは私が子供の頃から長年に渡って続いた、切なくてとても怖い話です。

当時小学3年生だった私は兄と弟と両親。

そしておばあちゃんの6人暮らしでした。両親は喧嘩をする事が多く、その都度母親は私達子供達の所に来てわんわん泣きながら「お父さんは私を人として扱ってくれないの!」って言っていました。

 

子供だったので母が無く姿を見てもどうする事もできず、ただ泣き崩れる母を見ているだけしかできませんでした。

そんなある日、父と母が離婚する事になりました。その後すぐに子供達の親権について話あったそうですが、最終的に本人達の意志にまかせるという事になり、まだ小学3年生の私達兄弟は究極の選択が迫られました。

私は最初「みんなと一緒が良い!」そう言って泣いていましたが、何日か過ぎた後やはりどうしてもそういう訳にはいかず、どちらか片方に決めなければいけないと言われました。

 

その時普通なら母親についていくってのが大半のケースだと思うのですが、私も兄弟達もみんな父とおばあちゃんとこのまま一緒にここに住むという選択になりました。

すると母親はそれを聞くなり、悲しそうな顔をしてそのまますぐに家を出ていきました。その後私達兄弟は泣き続け、おばあちゃんが優しくずっと慰めてくれていました。

そうしてこれは中学に入ってから父に聞かされたことなのですが、弟が小学校にあがり体育館で入学式をしていた時に最初の事件はおきました。

突然体育館の扉を力強く開ける音がしたと思ったら、そこには母親が立っていたとの事。

 

そして凄い剣幕で体育館にズカズカと入り大声で弟の名前を叫びながら「どこ~!〇〇どこにいるの~!」って事があったそうです。

その時は周りにいた先生達もただ事じゃないと思ったのか母親をなだめていましたが、それらの手を振り払い「私は〇〇の母親です!母親なんですっ!!」っと大声で叫びながらさらに入って来たとか。

精神状態が異常だと悟った数名の教師は母親をとり抑え、その後母親は体育館から出されたという事がありました。

そしてこれと同じ事件が私の小学校の卒業式にもおきました。

 

変わり果てた母親を見て、私を呼ぶ母親の声に反応する事は出来ず私はただ下を向いて泣いている事しか出来ませんでした。

さらに翌年、兄の中学の卒業式にも母親は現われ、同じ様な事件が起きたと兄から聞かされました。

普段母は決して家に来ることはないのですが、子供達の入学・卒業などのイベントには必ずと言っていいほど現れます。そうして私が中学の卒業式の当日。「きっとお母さん今日来るんだろうなぁ」っと考えるとすごい憂鬱だったのを覚えています。

そんな中卒業式が始まったのですが、なぜかその日母親は顔を見せず、私は「良かった・・・」っと安堵していました。その後友人達と別れを惜しむように過ごした後、家に帰る前に私は一人でトイレに行きました。

 

用を済ませ手を洗っていたら、突然後ろから急に肩を掴まれ「〇〇ちゃん久しぶり」っと声がして、後ろを振り返るとそこには母が立っていました。

突然でびっくりしたという事もあるのですが、私は元々少し母親に対して恐怖心を抱いていた部分があり、その突然の出来事に怖くなり、一言も声を発する事が出来ないまま固まってしまいました。

すると突然母親が折りたたんだノートの切れ端のような物をポケットから無造作に取り出し、「これをお父さんに渡して」っといって私に差し出してきました。私は怖くなり少し下を向きながら「やだっ!」って言うと、突然母親は人が出せる限界まで大きな声を出し

「母親の言う事を聞け~っ!」

って叫びだしました。

 

さらに私は畏縮して肩を狭め、余計下を向くと

「親の目を見ろっー!」

っと叫んできました。

私は目に沢山の涙を浮かべながら母親の方を見ると、母親は急にニッコリしながら再度そのノートの切れ端のような手紙を私に差し出し「これをお父さんに渡して」っと言って私はそれを恐る恐る受け取りました。

 

すると母親はトイレから出ていき、私は力が抜けたようにその場に座り込み泣きました。

少ししてようやく落ち着きを取り戻してきた頃、その紙を開いて中身を見てみる事にしました。

そこにはすごく汚い字でなんとかギリギリ読めるかなといった感じでこのように書かれていました。

 

「お前(父)とクソババァ(おばあちゃん)は人間じゃない。悪魔だ。早く親権を返せ早く早く返せ早く返せ。慰謝料2億早く払え払え払え」この後はここで書けないくらいさらに汚い言葉が沢山書かれており、最後の方はまともに読む事も出来ないくらい字が汚かったです。

あの時父と母どちらについていくべきか、まだ幼かった私を含めた兄弟達は無意識の内にわかっていたのかもしれません。

その後母とは一度も顔を合わせていません。

 



洒落怖くん洒落怖くん

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