短いけどガチで怖い話|仏壇の前で言ってはいけない事

私が昔、近所の古い小料理屋でバイトしていた時の怖いお話です。

そのバイト先では、来るお客さんと言えば8割は近所の常連客の方達ばかりでした。

客層は基本的に年配の方が多っかったです。

中でも元々は2~3ケ月に1回くるか来ないかくらいの60代のおばあちゃんがいたんですが、最近は週に一回くらいの頻度でお店に来るようになっていました。

そのお婆ちゃんはいつもあまり元気がなさそうな顔をしていたので、特に印象的でもありました。

しかし最近よくお店にくるようになってからは、顔色はすっかり良くなり、以前までのお婆ちゃんとは別人みたいに明るく元気になっていました。

顔見知りなので私が接客がてらおばあちゃんに「最近よく来るね~!」なんて言うと、おばあちゃんは少し笑顔で「ちょっとねぇ~」と少しだけ嬉しそうな顔をしていました。

以前とはまるで別人のように明るいので、私が一歩踏み込んで「何があったの~?聞かせてよ~!」なんて言うと、おばあちゃんは一瞬顔色が曇りました。

私は聞いちゃいけなかったんだと一瞬で悟りましたが、すぐにお婆ちゃんはまた笑顔になり、「実はさぁ~」と話してくれました。

以下お婆ちゃんのお話です。

 

お婆ちゃんには元々旦那さんがいたそうなんです。(お店には一度も来た事がありませんでしたが)

その旦那さんというのが、実は日常的に妻であるおばあちゃんに暴力を振るう旦那だったそう。

といっても暴力を振るう時は必ず酔っぱらっている夜だけ。それ以外は無口で普段は何も話さない人だったんだそうです。

お酒を飲んで酔っ払った時だけ性格が荒くなる。シラフの時は特に無害なので、お婆ちゃんは「お酒を辞めさえすれば・・・」っとずっと我慢していたそうなんです。

しかし一向に旦那の酒癖の悪さは直らず、長年暴力に耐えて来たお婆ちゃんもさすがに精神的に追い詰められていたんだそう。

稼ぎもほとんど無いから、たまに来るこのお店で一人で食事をするのが唯一の楽しみだったとか。

そんあある日、その日も旦那は夜にお酒を飲み、またお婆ちゃんに暴力を振るってきました。

何度か殴り蹴った後、その日は夜中だというのに旦那は外に出て行ったとか。

ずっと耐えて来たお婆ちゃんは限界だった。

家は居間と和室の二部屋なのですが、和室には仏壇があります。

旦那が家を出て行ったあと、おばあちゃんは仏壇の前に膝まずき、思わずこうつぶやいたそうなんです。

「いっその事あの人が死んでくれたら・・・」

その時は心の底からそう思ってしまったとお婆ちゃんは言っていました。

旦那さんがたまに家を飛び出す事も珍しくもなく、深夜には帰ってくるのでお婆ちゃんは特に気にもとめず、仏壇がある和室でいつものように布団を敷き眠りにつきました。

 

すると体感で深夜2時くらいでしょうか。

どうやら仏壇の方からガタガタと揺れているのか、物音がする事に気付きました。

最初は地震かと思ったそうですが、意識を集中させてみると、どうやらその「揺れ」は仏壇からハッキリと感じるようなのです。

さらに意識を集中させ暗闇の中目を凝らしてみると、仏壇だけが激しく揺れていたとか。

さらにお婆ちゃんはその後すぐに、とても恐ろしい事に気が付きました。

その仏壇の揺れは、扉が閉まっている仏壇の中から激しく揺さぶられている・扉を叩いているような感じだったんです。

明らかに仏壇の中から誰かが扉を叩いている・仏壇の中で何かが暴れているその状況を見て、一瞬で体が凍り付いたそうです。

あまりの恐怖に、お婆ちゃんはその仏壇へ向けた視線を外す事が出来ず、文字通り仏壇を見つめたまま固まってしまいました。

 

するとやがて少しずつ少しずつ、仏壇の隙間が開いてきている事に気付いたお婆ちゃんはとても生きた心地がしなかったと語っていました。

 

そしてその仏壇の隙間がほんの数センチ開いた時、お婆ちゃんはその隙間にとんでもない物を見てしまったそうです。

 

 

それは、

顔を横向きにしないと絶対に無理な位置、目が二つ縦に並んで仏壇の隙間からこっちを見つめていたとか。

 

 

 

 

 

 

仏壇の中なんてとても狭いですから、小さな子供ですら入るのは難しいほどのスペースです。

それを一瞬で察したお婆ちゃんは、絶対にありえないその光景を前に、そのまま意識を失ってしまったそうなんです。

 

翌朝起きたお婆ちゃんは、旦那さんがまだ帰ってきていない事に気が付きました。

たまに家を飛び出しても必ずその日の内に帰ってくるのに、その日だけは帰ってきていませんでした。

そしてその日の夕方、警察から自宅に電話が入りました。

どうやら旦那さんは前日の深夜にかけて、人気のない所で倒れて亡くなっていた所を発見されたそうです。

死因は心筋梗塞だったみたいです。

 

ここまで話すと、お婆ちゃんは私の目を見ず、下を向いたまま最後にこう小さくつぶやきました。

 

お婆ちゃん「あの日仏壇の隙間から覗いていた目、後から考えたら亡くなった旦那の目に似ていたんだよね。

もしかしてあの時、仏壇の前で私が「いっその事あの人が死んでくれたら・・・」って言った事、あの人に聞かれていたのかしら・・・」

 

旦那さんが亡くなってからはお婆ちゃんの顔色は良く、とても元気です。それは周りから見ても一目瞭然です。

私は何も返す言葉が無く、複雑な気持ちになりました。



洒落怖くん洒落怖くん

このお話が気に入ったらsnsで誰かに誰かに教えてあげよう。↓