【実話の怖い話】子供の頃にあった特別な力とその代償|短編#008

これは小学6年生くらいの頃の体験談です。こんな事言うと信じてもらえないかもしれませんが、当時子供の頃の私にはちょっとした超能力?みたいな特殊な能力がありました。

結論から言いますと、それは少し先の出来事や結果がわかるというものです。

本当に少し先しかわからないので明日どうなるかとかそこまではわかりません。例えばじゃんけんをする時に相手が何を出すとか、トランプでババ抜きをしていたらジョーカーは何処にあるかとかです。

そしてその超能力のような力は、いつでも簡単に使える訳ではなく、事前に(例えば前の日とか)に少し準備といいますか、頭の中でイメージトレーニングのような事をしないといけません。

どうやるのかと言いますと、まず一度沢山の抽象的な風景を頭に思い浮かべます。学校に行くときの道だったり昨日テレビでみた壮大な景色だったりと。

そしてそれらを一枚一枚のパネル・写真のような感じで頭の中で思い浮かべていきます。最初に思い浮かべた景色などは頭から消さず、どんどんと枚数が増えていきます。

するとどんどんと頭がボワーっと少し熱っぽくなってきて、もう覚えられない、限界だと思った時には頭の中には同時に10枚とか15枚の景色のパネルがあります。

それらを一気にごちゃごちゃにシャッフルして頭がガァーーっとなった所で一気にすべてを頭の中から消します。

これをやるとそこから大体1日~2日くらいは、ほんの少し先の出来事が予知出来るようになっていました。

そんなある小学6年の時、クラスではトランプでポーカーが流行っていました。ある時友人が「ポーカーは外国ではお金賭けてやるんだぜ」っと言いだし、私と一部の友達は家で一回100円とかお金をかけるようになっていきました。

私は前の日頭のトレーニングのような事をやってきたので、相手が持っているカードが一部読めたり、次は何のカードが来るか分かっていました。なので一日1000円とか稼いでいました。

そうやって定期的に面白半分で色んな事を予知していたある日、家に帰るとそこにはなぜか昼は仕事でいない筈の父の姿がありました。父は居間の隣にある和室の中央に立って黙って私に背を向けるようにして壁に向かって立っています。

私は後ろからその姿を見ていると、最初は間違いなく父だとすぐにわかったのですが、徐々にその姿が父として認識出来なくなっていき、最終的に目の前に立っている人は誰なのかまったくわからなくなりました。

同時に目もグルグル回りだして凄い嫌悪感を覚えました。

段々目も開けられないくらい気持ちが悪くなってくると、突然台所の方から立って私を見つめて来る母の存在に気付きました。

しかし母だと思ったのも最初だけで、その母の顔は見ていると徐々にまったく別の人の顔になっていき、最終的にまったくの別人になりました。

その現象を見た私は普段あの特殊な力を使っているせいだと直感し、変わり果てた父と母のような人たちを見て物凄く怖くなりました。

恐怖のあまりうずくまって頭を抱えながら「もうしませんもうしません。もうあの力は使いません。」っと繰り返しました。

すると嫌悪感は消え、頭をあげるとそこには誰もいませんでした。そしてあれ以来その力を使う事を辞めました。

後日談

高校生くらいの頃に今お話しした事を思い出し、「今ならもうあんまり怖くないしやってみようかな」と思って久しぶりに脳内でやってみたんですが、もうその力は使えなくなっていました。あれは誰かから一時的に借りていた力だったのかもしれません。

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