【怖い話|人怖】状況による思い込みは危険|#007

これは俺が小学5年生の時の恐怖体験です。

当時の学校は校門があり、校門を入ると大きめの駐車場があり、さらに進むと広いグラウンドがあってそれを囲むように校舎がありました。

授業中、大体同じような時間に校門の前に変なおっさんが立って変な踊りをしている。そのおっさんは学校では有名で、みんなそのおっさんを高橋さんっと呼んでいた。

 

最初の頃は「また高橋さんきた~!」っと言って窓から校門を見ると、また変な踊りをしている。(不格好でそれは踊りとは言えない踊りで、肘を曲げて手をパタパタと上下に早く動かし、足はカニのように蟹股にして膝を曲げているだけ)

週3回くらいは来るから最初は面白がったが、大体その内みんな見慣れて気にもとめなくなっていった。

そんなある日、俺は学校に先生にばれないように当時流行っていたミニテトリスのゲーム機(縦5~6cmくらいで横3cmくらいの)を学校に忘れた事に気付いた。

記憶をたどると、前の日どうやら理科室に忘れた感じがして、学校に取りに行く事にした。

その日は土曜日だが学校は空いていて、先生だけが数名職員室にいたが、隠れて取りに行くだけならバレないだろうと俺は一人で理科室に向かった。

 

するとツイてない事に途中初めて見る男の先生とすれ違い「休みなのにどうした?」っと言われ、俺は教科書忘れたから理科室に行く所っと伝えた。(その先生は片手にリコーダーを持っていたから、違う学年の音楽の先生なのかな?っと思った)

するとその男の先生は「そうか。んじゃ一緒に行くよ」っといってついてくることになった。

ゲーム機を学校に持ってきているのをバレたら怒られるのは明白。だから絶対についてきて欲しくないのに断る事も出来ず、その先生と理科室に向かう事になった。

どうやってごまかそうか?そう考えながら理科室に入り、何気なく窓を見たら、ちょうど校門に向かって歩いてくる高橋さんがそこにはいた。

 

先生はそれを見て「また来たよあの人・・・」って困った顔をして俺と一緒に高橋さんを窓から見ていたら、高橋さんは急にこっちを見て俺たちと目があった。

その後すぐ、いつもなら校門は締まっているのにその日は学校が休みだからか校門は空いていた事に俺と先生は気付いた。

ほぼ同時に高橋さんもそれに気づいたのか、俺たちの方を見ながらいきなりダッシュで校門の中から学校の敷地内に走って入って来た。

そのままこっちを見ながら走り続け、校舎の中にまで勢いよく入って来た。

先生はこれはまずい!っといった感じで、理科室の掃除箱に入っていた軽いモップブラシのような物を持ち、廊下へ出ていく時俺に「〇〇(俺の名前)は机の下に隠れてろ!俺が呼ぶまで絶対に出て来るんじゃない!」っと言って教室を出ていった。

 

俺はその瞬間ラッキーと思い、忘れていたテトリスのミニゲーム機をポッケにしまい、少し怖かったから言われた通り黒板側の一番前の机の下に隠れた。

そうしてその後すぐ、廊下のすぐ隣にある階段の下の方から先生の大きな声で「止まりなさい!」って聞こえたと思ったら、人と人とが激しくもみ合うような物音がした。

俺は一気に怖くなりそのまま机の下で怯えていた。するとちょっと経ったらその物音が止んで一気に静かになった。

俺は「高橋さんをやっつけたのか?」っと期待していたら、理科室の一番後ろの席の方の扉がガラガラガラっと空き、それと同時に「〇〇、もう出てきて良いよ」って声が聞こえた。

ほんの一瞬だけ安堵したが、それとほぼ同時に俺は一気に恐怖に包まれる事となった。

それは、その声は明らかにさっきの先生の声じゃないからだ。

聞いたこともない声。元々初めて見る先生だから気のせいかもしれないとも思った。

もしくは他の先生の誰かかもしれないという考えもあったが、その声はかなり不気味で、声を聞いただけでもそれを話している人間の口角が若干上がっているのがイメージできた。

 

直観的に「この声は高橋さんだ!」っと思い、恐る恐る机の下から後ろの方を見ると、そこには高橋さんが机の下一つ一つをゆっくりと覗き込んで俺を探している姿が目に入った。

あまりの恐怖に一瞬固まったが、このまま見つかったらヤバイと思い、俺は急いで目の前にある扉まで走ってバッっと開け、教室から飛び出し校舎から出て校門の方まで全力で走った。

もう顔はぐちゃぐちゃになるくらい走りながら泣いていたが、校門の手前まで来て、俺はフッっと後ろを振り返り理科室の方を見てみた。

するとその視線の先にある物を見て、何が起きているのかまったく理解出来ず、俺の動きと脳は完全に停止した。

振り返って視線を向けた先、理科室の窓からはさっきの先生と高橋さんが並んで立ってこっちを見ているからだ。

 

理解出来ない。意味が分からない。

 

そんな状況で数秒固まったが、再度恐怖心が俺を包んできたと同時に我に返り、俺は走って家に帰った。家に帰ってから今日起きた事を振り返ったが、何をどう考えても納得のいく答えを出す事は出来なかった。

翌日かなり警戒して学校にいったが、そこではいつものように何も変わらない授業が始まった。俺は昨日の事も気になり、職員室に先生を探しに行ったが、そこにその先生はいなかった。

後日また職員室にいったが、何度職員室を見に行ってもその先生を見つける事は出来なかった。

俺はその内心の中で「合う事ないならこのままソッとしらないフリしてよう」っと考えるようになり、その後その出来事は俺の中でも忘れつつあった。

今久しぶりにその時の事を思い出しているが、冷静に考えてあれは本当に先生だったのだろうか。もし違うなら、片手に持ってたリコーダーは誰のものなんだ・・・

高橋さんとグルだったのか?

後味悪い話ですいません。

 



洒落怖くん洒落怖くん

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