これは数年前、家族で国内旅行に行った時の話です。
目的地に到着し一息ついた所で、その日泊まる旅館の周りをゆったり観光がてら歩いていたら、ひと気のない歩道の横に荒れ果てたお地蔵様があった。
別に私達が、尚且つその土地の人間でもない私たちが掃除する義理もないので、そのままスルーしようとしたら突然5歳の息子が急にゴミ拾いを始めた。
私は立派に成長してくれている息子を見て嬉しくなり「偉いぞ!」と頭をなでて誉め、少し歩いた後に旅館に戻った。
その日の夜、息子が寝た後に嫁と二人でお酒を飲んでいたら突然息子が寝言で「僕イラナイからパパにあげる」と言っていた。
今日の昼間の掃除の件もあり可愛くてしょうがない息子に軽く「なにがいらないの?」と聞こうとした。
しかし昔だれかに『子供の寝言には話しかけたらいけない』と言われたのを思い出して、声はかけずに無視してそのまま寝た。
翌朝。朝起きて朝ごはんを食べているときに突然息子が「昨日夜にお地蔵様がきて目を僕にくれると言ったけど、僕はいらないからパパにあげるって言っといた!」
と言っていた。
あの寝言はそれかと納得した。
私は心の中で「昼間息子がお地蔵様の回りを掃除したからきっとお地蔵様が礼を言いに来たんだ」となんだかほっこりとした気持ちになった。
朝食を済ませた後、チエックアウトをして帰りの駅に向かうバスを待った。
そして待っている内に遠くの方にバスが見えたが、そのバスを見た私は驚いた。
何を驚いたのかと言うと、そのバスに黒いモヤみたいなのが絡み付いていたからだ。
疲れて目がぼやけているのかなと思い、目をこすりもう一度バスの方を見たがどうやら疲れ目のせいではないらしい。
ハッキリとバスに黒いモヤが絡みついているのが見える。
次のバスがくるまで1時間くらいはあったけど、物凄く気味が悪かったので嫁を説得して次のバスに乗ることにした。
そして次のバスが来たのでそれに乗ったのだが、次の駅が近づいてきた時、バスの中から見えた物を見て私はさらに絶句した。
そこでは最初に私たちが乗るはずだったバスが事故にあい、パトカーや救急車が沢山来ていたのだ。
それを見た直後不気味な考えが頭をよぎった。
「あの黒いモヤはなんだったんだ!?あれが原因なのか?それともあれは虫の知らせなのか?」っと。
そんな体験をしたものだからかなり気分が悪くなり、家についた後も早めに寝る事にした。しかし早めに寝たものだから途中目が覚めてしまい、ボケーっとテレビをみていたら息子が突然寝言で「その目は大切にしなさい」と言い出した。あれはまるで私に言っているかのようだった。
あの時バスに黒いモヤが見えたのはお地蔵さんがくれた目の力なのか?と思うと全身に鳥肌がたって恐怖に包まれた。
感謝の気持ち半分
気味の悪さ半分。
今でもたまに黒いモヤが車やバスにかかっているのを見かけるが、運転手に声をかける訳にもいかないしどうしようもない。
そして本当に気味が悪い。
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あんまり怖くなかったです