怖い話|世の中知らない方が良い事って本当にある

洒落怖くん洒落怖くん

投稿者:Y.Hさん(この怖いお話は、視聴者さんから寄せられたお話だよ。)

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俺が高校2年の時に体験した怖い話をしたいと思います。

よくある話だと思われるかもしれないが、実際に自分が体験すると洒落にならん訳。

人の死をもて遊ぶとかそういうんじゃなく、彼の事を忘れない為に、そして同じような被害にあう人が一人でも減る事を祈って書かせてもらいます。

 

高校2年の夏の日、俺は男友達と計5人で海に遊びに行く事にしました。

一般的な海水浴場は人だらけで混んでいるから、その時は「人がいない海に行って泳ごうぜ」という話になりました。

 

そこで友人の一人が、「ちょっと遠いけど地元の田舎の海は誰もいないからそこに行こうぜ」と言い出したので、みんな彼の言う事を聞いてその海に行く事にしました。

当日、到着してみるとそこは人が一人もいなくて、砂浜とちょっとした崖に囲まれた海がありました。

「最高じゃん!」

それはもうみんなテンションMAXで喜びました。

ここに連れてきてくれた友人も、ちょっと自慢気な顔をして「だろっ!?ここ最高だよな」って誇らしげな顔をしていました。

軽く崖に囲まれているので、プライベートビーチみたいな空間がまた、当時少年だった俺たちの遊び心を刺激しました。

これは後から知らされたのですが、そこは遊泳禁止区域でした。

しかし自分を含めた少年達には、遊泳禁止区域という言葉は頭に無く、早速泳いで遊ぶことにしました。

 

しばらく砂浜から近い所で泳いだりして遊んでいると、ここに連れてきてくれた友人がこう提案してきました。

「あそこに崖があるじゃん!?あそこから飛び降り出来るよ!」

彼の指さす方を見てみると、飛込にはちょうどいい高さの少し小高い崖がありました。

俺たちは迷うことなくその崖の上を目指し、到着するやいなや順番に飛び込んで遊んでいました。

友人の一人がカメラを持ってきているようで、気付けば彼はみんなが飛び込む所を順に撮影していました。

そうしてしばらく遊んでいると、一緒に来ていた友人Cの姿が無い事に気が付きました。

崖から飛び降りても、数分もすればまた頂上にこれるくらいの距離。それなのに体内時計ではもう30分くらいはCの姿を見ていません。

最初は「あれっ?Cどこ行った?」「便所じゃね?」なんて会話でしたが、それがさらに1~2時間ほど経つといよいよ心配になってきました。

「ちょっと遅すぎるよな?みんなでCを探すか」という流れになりました。

4人で色々考え着く限りの所を探しましたが、Cの姿は一切ありません。

Cは服を置いていた所に、服と一緒に携帯電話も置いていたので、勝手に家に帰っているという事は考えられません。

 

さらに時間が経ち、夕方になってきた頃にはあれだけ笑顔だった4人の顔色はみんな曇っています。

誰も口にはしなかったが、状況から察するに考えられる事は一つでした。

「もしかしたら気づかない内に海におぼれたんじゃ?」

若い頃は特に悪いことをしていなくても、警察の存在にはあまり良いイメージを持っていません。

遊びに来ていて特別悪い事もしていないが、警察に電話というのは心理的に少し抵抗があるものです。

しかし本当に洒落にならない状況になっています。

日も落ちてきている事から、「これは警察に電話しなきゃダメだ」という事になり、110番通報をする事にしました。

しばらくすると警察がきて、日が完全に落ちる頃には捜索隊が入っていました。

俺たちはこのままいても仕方がないので、各々が警察からの電話の元、親に迎えに来てもらって帰宅する事になりました。

 

翌日、未だCは見つかっておらず、俺たちは学校の先生から厳しい取り調べみたいなものを受けました。

理由は、”俺たちがCをいじめていた可能性を探る為”です。

客観的に考えたらそれもそうです。

一緒に遊んでいたのに、急にCの姿が見えなくなってそのまま行方不明というのは、明らかに不自然です。

でも俺たちは全員が仲良かったし、言っている事に嘘偽りはないというのは皆一緒でした。

 

Cが行方不明になってから5日後。

悪い予感はあたっており、Cは水死体で発見されました。

改めて警察から4人は事情聴取を受けましたが、最終的には事故死という事になりました。

俺たちはCのお葬式にも参列しました。

そこで見たCのご両親は、それはもう酷くやつれた顔をしていました。

翌日、俺は海で遊んでいる時に友人が写真を撮っていた事を思い出し、彼に向ってこう言いました。

俺「なぁ、Cのご両親にあの時遊んでいた写真あげた方が良いんじゃないか?」

そう問いかけると、彼は下を向きごにょごにょとバツが悪そうにこう言いました。

友人「あれ・・・・・・ない」

俺「え?ないってどういう事?」

友人「・・・」

 

その突然の良く分からない反応に俺はひどく困惑しました。

そして彼にしつこく「どういう事?写真撮ってたよな?」って迫ると、彼はこう返してきました。

友人「あれはダメだ。」

Cの葬式に行った時、Cのご両親の姿は友人達全員が見たはずです。

「少しでも何かしてあげられないか」という気持ちになるのは、人間なら当然だという気持ちがありました。

それなのに彼の非協力的なその態度見た俺は、急に怒りがこみ上げてきました。

強く、そして少し怒った感じで「なんでだよ!絶対渡してあげた方が良いだろ!」っと言うと、少しの沈黙の後、彼はこう言いました。

友人「触りたくない。(写真の事)」

そのセリフを聞いて私は思いっきり彼をぶん殴りました。

鼻から血を流し、倒れた友人は俺を見上げながら突然こう叫びました。

友人「お前もあれ見てみろよっ!」

何の事を言っているのか話が噛み合いません。

詳しく聞こうにも、俺に対してではなく何かに対して怯えている彼が発する言葉は、全て単語のような口調で会話にならないんです。

なのでその日の授業が終わったら、家に写真はあるとの事なので、一緒に彼の家に行く事にしました。

 

家につき、部屋に上がると友人は引き出しを指さしました。

引き出しを開けてみると、写真が入った封筒があったので俺が「これか?」っと言うと、友人はコクリと頷きました。

 

中を開けてみると、友人が個人的に撮っていた関係ない写真が最初は続きました。

何枚か見ていると、あの日俺たちが遊びにいった海の写真が出てきました。

もちろんCも写っています。

みんな楽しそうに遊んでいる写真の後は、崖で飛び降りる写真へと切り替わって行きました。

崖から飛び降りる時、みんなカメラに向かってふざけたポーズをしています。

そしてそのまま同じようなシチュエーションでCの写真も出てきました。

Cはカメラの方をみず、両手をまっすぐ下に向け、頭も垂直に下に向けて飛び降りている瞬間の姿がありました。

例えるなら、飛込みをする時の基本姿勢のような形です。

私はその写真を少し眺めた後、なんだか全体的に少しぼやけているような印象を受けました。

全体的にと言いますか、海がぼやけている感じです。

 

友人「だから言ったろ。これはダメなんだって!」

友人が涙声で急に大きな声をあげ、私は驚きました。

俺「はっ?ちょっとボヤけてるだけじゃねーかよ。
お前、なんもきっちり綺麗に撮れてなくてもいいんだぞ?」っと返すと同時に、彼を殴ってしまった私は物凄い罪悪感に襲われました。

友人は、きっとCのご両親にボヤけた写真を送るのは失礼だと思っていたから、あの時は「あれはダメだ」っと考えていたと私は思いました。

さらに彼はカメラが元から好きな人間です。

プロ意識のような所から、ボヤけた写真に対して「あれは触りたくない」とも言ったんだと思いました。

自分が彼を勢いで殴ってしまった事を恥じながら再度写真を見た時、友人は涙声でこう言いました。

友人「ちゃんと見てくれよ・・・」

俺は少し戸惑ったが、言われるがままその写真をしっかりと見ると、そこにありえない物が写っていたんです。

Cが飛び込んでいる姿を映したその写真。

海は全体的にボヤけているように見えていたが、よく見るとその海からは無数の白い手がCに向かって伸びていたのです。

それに気づいた瞬間、うわっ!っと大きな声を上げ、おもわず俺は写真を投げてしまいました。

俺(こんな写真、Cのご両親に見せられる筈がない・・・)

瞬時に今までの友人の行動の全てが一つの線に結び付きました。

少しして落ち着きを取り戻した後、これは俺と友人二人だけの秘密にする事を約束し、後日お寺に写真を持っていって供養してもらう事にしました。

その時、住職さんから言われた言葉は一生忘れられません。

 

住職「彼は可愛そうだったね。彼がこの後、この腕の中の一人にならないよう、一緒に祈りましょう」

 

思う所は色々あるが、深く考えないようにしている。



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