怖いけど面白い話|生霊の姿

これは昔知人の身に起きた恐怖体験と言いますか、怖いんですが仲間内では面白い、笑い話になっている話です。

大学を卒業して社会人1年目の頃、大学で仲の良かった、自分を含めた友人のAとBはそれぞれ違う会社に就職していきました。

社会人にもなれば残業もありますからプライベートな時間があまりないのは何処も一緒。

それでも私達三人は数か月には一度、集まってお酒を飲むほど仲が良いんです。

そんなある日、いつものように居酒屋で集合して3人でお酒を飲んでいたのですが、どうやらAの顔色が悪い事に私とBは気づきました。

Aいわく、仕事が結構ハードで、肩こりも最近凄くてダルいと言っていました。

肩こりってひどくなると血行が悪くなったりして、頭痛なども誘発していきますよね。

私も肩こりをする方なので、単純にAは仕事で疲れているだけなんだとその時は思いました。

そして次に三人が集まったのはそれから2ケ月位が経った頃でしょうか。(いつも集まる居酒屋は同じ店です。)

前回顔を見た時以上にAはゲッソリとしており、なんだか顔も白くて生気がありませんでした。

B「お前、大丈夫か?そんなに仕事きついのか?」

A「うーん、最近は慣れて来たんだけどほんと疲れが取れなくて・・・とにかく肩がだるくて・・・」

そう元気のない声でAは答えました。

その日の帰り道、3人で駅まで歩いていると、歩道で1回500円の手相占いをしている人を発見しました。

男なんて基本占いに興味がない人が多いですが、なぜかその時Aは「俺、見てもらっていい?」っと言い出しました。

私「おっ、おう。お前こういうの好きなん?」

A「いや、何となく見てもらいたくて」

まぁ特に急いでいる訳でもありませんし、お酒が入って良い気分だったのでAに付き合う事にしました。

 

A「お願いして良いですか?(占い)」

Aはその占い師の前に立ってそう言うと、突然その占い師の方が目を見開き、Aに向かってこう言いだしたのです。

占い師「あんた、憑りつかれとるで!大丈夫なんか!?」

A「は、はい?」

占い師「いやさ、あんたに生霊が憑いとるんよ」

その言葉を聞き、私は霊感商法のやり口かと疑いの目を向けました。

しかしAは最近の体調不良の事もあり、どうやらその占い師の言う事に耳を貸す素振りを見せました。

私は霊感とか一切信じていないので、その占い師からAを遠ざける形で「おい、行くぞ!」っと言ってその場から3人離れる事にしました。

私「こういう弱ってる時につけこまれるのは良くないぞ。」そう言ってその日は解散する事に。

 

それからさらに3ケ月くらい経ってからでしょうか。またいつもの居酒屋で三人で飲む機会がありました。

そこへ現れたAの姿を見ると、明らかに会う度に生気がなくなっていっています。

私「お前本当に大丈夫か!?目の下もクマだらけじゃねーかよ」

A「最近眠れなくてさ。肩こりもどんどんとひどくなっていってるし」

私とBはそんなAの姿を見て、本当に心配になりました。

その後三人でお酒を飲み、帰りにまたいつもの駅に向かって3人で歩いている時、前回もいた占い師がまた同じ場所に椅子とテーブルを置いて座っていました。

その占い師は私達をみるやいなや、突然立ち上がりAに向かってこう言ってきました。

占い師「あんた!本当にそのままだと危ないぞ!」

私達三人は驚きました。

いくら霊感商法とはいえ、道端でそんな目立った事をするでしょうか?

何より3ケ月ほど前に一度通っただけで、ハッキリ顔を覚えているのでしょうか?

A「あの、俺になにか憑いてるんですか?」

占い師「あぁ、生霊が憑いとる。肩がこったりしてないか?」

A「はい、ずっとひどい肩こりに悩まされています。」

私もAの事がずっと心配だったので、とりあえず話を聞いてみる事にしました。

 

占い師「あんな、あんさんの肩にな、女の人が立っとるんよ。しかもな、前回見た時よりも深く深く沈んできてるんよ」

A「それはどういう意味ですか?」

占い師「前見た時はな、ちょうど女の霊の股の部分があんたの頭の所にあったんよ。でも今見ると、もっと深くなって行って、あんたの頭はもうその女の体の中にスッポリと入って来てるんよ。今あんたの頭はその女の腹ん中やで」

その光景を想像した私は、思わず吹き出してしまいそうになりました。

そしてそれは横を見ると、Bも一緒のようです。

しかし占い師とAの二人は真剣な顔をしています。

占い師「明日ここに来なさい。祓ってあげるから。」

そういうと占い師は名刺をAに渡してきた。

私「あの、料金っていくらなんですか?」

こういう事って当の本人は聞きづらいもので、Aが変な霊感商法に引っかからないよう、これは私なりの気遣いでした。

占い師「金なんていらんから。」

 

そうしてAは翌日、占い師の元へお祓いに行ってきたそうです。

後日Aの顔を見ると、見違えるように元気になっていました。

A「いやぁ、ほんと危なかったらしいよおれ。」

私「結局霊はとれたの?」

A「うん。自分でも驚いてるんだけど、お祓いに行った次の日から肩こりも体調不良も一気に治ってさ。」

私「原因はなんだったの?」

A「どうやら別れた〇〇の生霊だったのかもしれない。具体的には分からないけど、占い師の方もそんな風な事言ってたし」

(〇〇とは、Aが大学時代に付き合っていた彼女で、就職する時に分かれた元彼女だ。)

 

占い師いわく、その彼女は結婚を考えるほど真剣な交際だったらしい。

子供も欲しがっていたとの事で、それが結果的にAの頭を股で包む形になって表れたそう。

B「お前、臭くはなかったんか!?」

A「やめろww」



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