【深夜の病院で体験した怖い話】触らぬ神に祟りなし

これは私が昔、病院で1ケ月ほど入院していた時の怖い話です。

私の病室があるフロアは4階で、その階にも小さめのナースステーション(名称違ったらすいません)というのでしょうか、看護婦さんが待機するスペースがありました。

とある日の深夜、私はどうしても眠りにつく事ができず、入院生活で体がなまっていた事もあったので少し廊下を散歩する事にしました。

歩いていると、先の方にはナースステーションがあります。

そこには看護婦さん一人がパソコンに向かっていたのですが、その後ろからまっすぐこちらを見つめて立っている患者さんを見つけました。

「あれ?なんであんなとこに患者さんがいるんだろ?看護婦さん気づいていない訳ないよな?」そう不思議に思っていました。

ナースステーションの前を通り過ぎ、気になったので後ろを振り返ると、今度はその患者さんはこっちを向いています。

姿格好は60代の男性。

「なんで私の方をずっと見てるんだろ・・・」

その時は深くは考えませんでした。(精神的に病んでいる患者さんもいらっしゃるので)

 

それから数日が経った頃、また眠れなかったので深夜に廊下を歩いていました。

目の前にはナースステーションがあります。

その日は看護婦さんは居なかったのですが、また例の患者さんが一人こっちを向いて立っていました。

「なんか怖いな・・・絡まれないようにしよう」

そうして通り過ぎた後、何気なく後ろを振り返ると、またその患者さんはこっちを向いています・・・

 

そんな事が何度かあった頃、同じ病室に入院する50代のおじさんと仲良くなり、その方とよくお喋りをしていました。

私は何気なく、深夜にナースステーションに立つ男性の事を話すと、その方はこう教えてくれました。

おじさん「あっ、知らないんですか?結構有名ですよ。」

私「なんですか!?」

おじさん「いやね、この病院の4階には逆ダルマさんって霊が出るらしいんですよ。」

私「逆ダルマさん?なんですかそれ苦笑」

おじさん「私も詳しくはしらないんですが、だるまさんが転んだって遊びあるじゃないですか。あれって常に鬼が背中を向けていますよね。」

私「そうですね・・・」

おじさん「逆ダルマさんは絶対に背中を見せないで、いつどの角度から見てもこっちを見ているそうなんですよ」

私「えっ!あれって霊だったんですか!?」

おじさん「〇〇さん(私の事)見たんですね。私は見た事がありませんが、多分それ逆ダルマさんですよ。絶対に背中を見る事が出来ないそうです」

 

そんな話を聞いた私は、恐怖心よりも好奇心の方が勝っていました。

そしていつしか「逆ダルマさんの背中を見たい!」って思うようになっていたんです。

ですが逆ダルマさんはいつ見ても必ずこっちをまっすぐ見ており、一瞬でも視線を外した後にまた見ると、こっち向きに向きが変わっているんです。

 

そうしてまた数日が経った頃、また深夜に寝付けない私は廊下を散歩する事にしました。

先の方にあるナースステーションを何気なく見ると看護婦さんはおらず、また逆ダルマさんらしきおじさんがまっすぐ立ってこっちを見ています。

 

「いたっ!絶対そうだ!」

 

怖さという感じはないものの、発見した時は心臓がドキっとしました。

 

私(逆ダルマさんの背中を見てやる!)

 

↓廊下の真ん中には、ナースステーションがこのような形になって配置されています。

ナースステーション|怖い話

(ナースステーションは円形です)

私の作戦はこうです。

左から右に廊下を歩き、ずっと逆ダルマさんへの視線を外さないで歩く。

そしてナースステーションの回りをグルっと回って、逆ダルマさんの背中を見るという、シンプルな物でした。

視線を外した時に一瞬で向きを変えられるので、視線を外さないで後ろに回れば逆ダルマさんの背中を見る事が出来ると思ったのです。

 

遠くから距離が近づいても、私は勇気を出してずっと逆ダルマさんの顔を凝視しています。

(相手は人間じゃないと分かってからは何故か強気に見る事が出来ました・・・)

逆ダルマさんは生気がまったくない、死んだ目とはこの事かというような目をしています。

 

やがてナースステーションの横に差しかかった時、逆ダルマさんは最初に私と目が合った方向をまっすぐと見たままです。

 

そうして視線を外さないまま歩くと、逆ダルマさんの横の姿が見えてきました。

私「見れる!誰も見た事が無い逆ダルマさんの後ろ姿が」

 

そうして私は絶対に視線を外さないまま、ナースステーションの外周を回りだしました。

 

徐々に徐々に、後姿が見えてきます。

 

そしていよいよ逆ダルマさんの後ろ姿を見る事が出来ました。

 

その後ろ姿・・・

 

そこにはなんのへんてつもない、ただの後姿がありました。

 

特に変わった所も無い、少しなで肩の後姿が見えるだけ。

 

ただ私は、誰も見た事がない逆ダルマさんの後姿を見る事が出来たというだけで、なぜか凄く達成感がありました。

私「ハッハ。見てやったぜ!」

 

そうして逆ダルマさんへの視線を外し、前を向いて歩こうとした時です。

 

突然目の前の僅か数センチ先に逆ダルマさんが立っていたのです。

 

目の前に顔があり、私は驚いて叫び声を上げそうになった瞬間、一瞬の内に逆ダルマさんに首を絞められました。

 

そして私はそのまま気を失ってしまったそうです。

 

翌朝目を覚ますと、私はどうやらナースステーションの前で倒れていたそうです。

特に体に異常はありませんでした。

 

ここでみなさんに忠告したいのですが、霊をあざむこうとするのは絶対にやめた方が良いです。

“触らぬ神に祟りなし”とはこの事なのかもしれません。



洒落怖くん洒落怖くん

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