テレビ局時代に体験した洒落にならない程怖い話

今から30年ほど前、テレビ局で仕事をしていた時の怖い話をここではしたいと思います。

この恐怖体験は私自身本当に洒落にならない程の怖い話であり、軽く誰かに話していい物ではないと思っています。

なのでこの30年間の間で話したことがあるのは一度だけでした。(楽観的に仕事をしているテレビ局の後輩へ、お灸をすえる意味合いで)

もう30年も経っているので良いだろうと思い、そして事実として形に残しておきたいのでお話させて頂きます。

初めに伝えておきます。このお話は本当に危険です。何故なら実話であり、その辺にある良くできたオカルト板の怖い話とは次元が違います。

怖い話を聞きなれた人にとっては「あぁ、そういうパターンね」なんて思う人もいるかもしれません。しかし霊障などが起きた場合当方は一切責任を持てませんので、心してご覧下さいませ。

 

あれはとある夏の日、局内ではにわかには信じられない噂が飛び交っていました。

それは同じ局で仕事をしている人で、わずか数か月の間に次々と事故や不審死を遂げている所から始まりました。

身近な人が無くなるというのは、意外にもそう頻繁に起きる事ではありません。

テレビ局で働いている人間は大勢いますが、それでも簡単に人が亡くなるなんて事、立て続けに起きる事はまずありません。

しかしその時は、合計6人のスタッフが亡くなっていました。

その頃には局内はその人たちの噂でもちきり。私の耳にもよく噂は入ってきました。

その内容は、どうやらその6人はとある心霊スポットとして有名な古民家にロケにいってから、次々と不審死を遂げているという物でした。

もちろん私はそんな事は信じていません。しかし事実として、その6人の共通点には確かに同じロケ先というのはあったんです。

 

そんな噂でもちきりだったころ、ある日そこそこの役職についていた私は上層部の人間に呼び出される事になりました。

話を聞いてみると、どうやらその6人が行った心霊スポットのロケ先で、撮影したテープに異常が見つかったとの事でした。

(当時は基本的にロケ、撮影を行っても、実際にテレビで公開されるのは半年後~とかはザラにありました。彼らが行った撮影もまだテレビでは公開される前でした)

その異常という言葉だけ伝えられても何が異常なのかなんてわかりません。

もちろん上司に聞き返しましたが、どうやらその上司もその報告を受けただけで、「これから確認作業をするからお前も一緒に来い」というものでした。

その上司に連れられるがままとある編集部屋に入ると、そこにはさらに3人の、各責任者レベルの人間だけがいました。

軽い挨拶をかわし、問題が見つかったテープを5人で見る事になりました。

 

映像は至って普通の編集前のビデオテープ。

演者はわずか二人で、進行役の男性とそれに同行するグラビアアイドル。

そのテープを5人で見ていると、所々映像が一瞬乱れる事に誰もが気づきました。

普段そんな事はまずありえません。仮にあったとしても、わざわざ各責任者レベルの人間5人を集めて確認する事でもないんです。

使えないなら使えないでお蔵入りってだけですから。

しかし今局内で噂になっている、そのロケに行った人間6人が次々と不審死を遂げているという事から、そのテープの異常に最初に気付いた人間は、心の底ではやはり何かあったのかもしれないと思っていたのでしょう。

だから私たちが呼ばれたんだと思います。

テープは続きます。

 

スタッフたちはそのまま問題の古民家の前に到着しました。(その古民家というのは、その当時で20年前に一家無理心中があった家です。)

他愛もない前置きをした後、二人を先頭に皆が古民家の中へと入ろうとした時でした。

急に音声さんだけが反応し、「ちょっとまってください。何かさっきからノイズが入っています」っと撮影の中止を訴えました。

ノイズが入っていたらテープは使えませんから、一旦足取りを止め問題究明にあたります。

原因はわからないがノイズは収まったようなので、再度撮影を再開します。演者の二人は一つずつ部屋を開けて中を確認していきます。

今見ているテープは完全に編集前のテープなので、時々音声さんや照明さんなどの姿も写ります。

そのまましばらく見ていると、私はあるおかしな点に気がつきました。

先程のノイズの一件から、たまに音声さんがカメラに映る度、彼の顔色が段々と悪化していたんです。

最初は気分が悪いのかな?っという程度だったんですが、撮影を続けている内にどんどんと顔色が悪くなり、後半はまるで顔がどす黒い紫色みたいな顔になっているんです。

さらに驚くのが、そこまで来るとさすがにそのテープを見ている全員が音声さんの顔色の悪さに気が付きました。

しかしその現場にいるスタッフ、音声さんを覗いた5人は誰一人彼の様子が異常である事に気付いていないのです。

 

そのまま撮影は続き、いよいよ一番奥にある、一家無理心中が起きた一番奥の部屋の前に来ました。

そのまま扉を開け中に入った瞬間、私の隣にいた、一緒にテープを見ている人間が突然口を開きました。

「今なにかノイズ入ってませんでした?」っと。

彼だけはヘッドフォンで音を聞いているので気づいたのでしょう。私を含めた4人はそのノイズに気付きませんでした。

その時はその人の勘違いという事で私達は視聴を続けたのですが、すぐに一緒にロケに行っている、顔色が悪かった音声さんが急に奇声に似た大きな声を出し始めました。

 

「ギャーーーーーーーー!!!!!!逃げろ逃げろ逃げろ!!!!!」

その声が聞こえた瞬間、カメラは後ろの音声さんの方へ向きますが、音声さんは腰が抜けた状態で必死に家から出ようともがき、そのまま家から出て行ってしまいました。

そんな事があったので残された5人は音声さんの後を追い家から出ました。

 

外では音声さんは頭を抱えてうずくまり、「あそこはダメだあそこはダメだ。ほんとうにまずいほんとうにまずい」っと震えています。

その姿を見た他のメンバーは困り果てています。

 

さらに続けて音声さんはこう言いました。

「あの部屋の上を見なかったのか。上上上上!とんでもない物があっただろ!!!人だよ人っ!蜘蛛みたいな人間がこっちを見てただろ!!」

そんな事を言われても他の5人には一切何も見えておらず、スタッフの一人がもう一度家の中に入り確認してきましたがやはり何もなかったようです。

ここまで来たのにそんな事で撮影を諦めるという事は出来ません。(昔はそうなんです)

演者の方のスケージュルもありますから、現場にいた責任者が代わりに音声を担当して、そのまま撮影を続行し、最後の部屋の中を撮り終わってその時は終わりました。

 

テープを見終わった時、私を含めた5人は文字通り固まり唖然としました。

特別何か見えたという訳ではありませんが、事前に耳に入っていた噂・このロケが問題だったんじゃないか。ロケ先はいわくつきの家。

これらの材料が頭にありますから、手放しでロケと不審死は関係ないとは誰も言えない状況になってしまいました。

少しの沈黙の後、先ほど一人だけノイズに気づいていた人間がテープを巻き戻し始めました。

問題のシーンは例の一番奥の部屋。最初に事件があった部屋の中に入る所であり、音声さんが発狂する前のシーンです。

ヘッドフォンをして耳を澄ましている彼は、何度か再生と巻き戻しを繰り返した後、私たちに向かってこう言ってきました。

「やはり何かノイズのような音が入っています。考えたくはありませんが、うっすら人の声のような気がしない訳でも・・・」

みんなに聞こえるように音量をかなり上げ、問題のシーンを見ます。

演者二人が部屋の扉をあけ部屋に入った瞬間、確かに1秒ほどの短い時間ですが「アsdfじゃdさj」っと何かが聞こえてきます。

あまりの短さなので誰も聞き取る事は出来ません。

 

するとやがて、ヘッドフォンをして聞いていた人間が、何を思ったのかその問題のシーンの所をスロー再生にしてみたんです。

 

・・・・・・・・・まだ何かはわからない。

 

もう一度、さらにゆっくりとスロー再生にしてみます。

 

・・・・・・・・人間の声?のような雰囲気がしてきました。

 

・・・・・・・・さらに限界までスロー再生にして聞いてみます。

 

 

「コロシテヤルコロシテヤルコロシテヤル」

 

その場にいた大人5人全員が「うわっぁ!!!」っと声を上げました。

ハッキリと全員が同じセリフを聞いたのです。

そしてその場にいた5人全員、次の瞬間全く同じことを考えていたと思います。

それは、現場にいた音声さんだけが別の最初のノイズに気付いていた事です。

私たちがテープを見ていて、ヘッドフォンで聞いている人すら気づいていない、その最初のノイズのポイントを改めて見る事にしました。

そう、古民家の前につき、中に入ろうとした時のシーンです。音声さんだけはノイズに気付いていて、一度中止を訴えたポイントです。

 

限界まで音量を上げ、スロー再生で聞きます。

演者二人がドアを開けて古民家の中に入ろうとした時、確かにうっすらとノイズのような音が入っていました。

これは音量を限界まで上げて、尚且つ集中してやっと一瞬聞き取れるほどの小さなノイズでした。

 

そこを先ほど聞き取れた限界レベルまで速度を落としてスロー再生で聞いてみると、このような声が入っているのをその場にいた全員が聞き取れました。

 

「ハイルナハイルナハイルナハイルナ」

 

あそこにいた霊は、一家心中された家族の中の誰かなのか。もしくは全く別の何かなのか。

答えはわかりません。

そのテープはすぐに局でいつもお世話になっている霊能力者の元、お祓いをしてもらう事になりました。

この出来事を共有した5人は、それ以来ただの一度もこの話を互いにした事がありません。

二度と思い出したくない程恐ろしい体験だったからだと思います。

蜘蛛のような人。考えただけでもおぞましいです。

皆さんは気軽に心霊スポットなど行かれない事を強くお勧めいたします。



洒落怖くん洒落怖くん

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