洒落にならない程怖い話|カーブの先にあったもの

※管理人からの注意喚起※
あまりある事ではありませんが、この怖い話を聞いて一部霊障にあう視聴者さんもいるようです。敏感な人は見ない事をおすすめします。

私は昔、田舎の方にある定時制の高校に通っていました。

定時制と言えばご存知の方も多いと思いますが、私の高校も原付バイクや車での通学が認められていました。

16歳、早い人なら高校一年生からバイクの免許を取得して通学します。

当時誕生日が遅い学生は、とにかくそれはもう、うらやましがったものです。

そして高校3年生ともなれば、車で通学する同級生を見ては、どこか一気に大人に見えたものです。

この恐怖体験は、そんな高校3年の夏に起きたお話です。

 

私(男)には、高校1年の時からの親友でHという男がいました。

そんな彼は私より誕生日が早く、高校3年の6月に車の免許を取得しました。

車が納車されたその日学校に先に到着していたHは、原付で到着した私を見て、車の中から窓を開けてこうからかってきました。

H「あれあれあれぇ~?君、まだ原付なんて乗ってるの~?笑」

同じ学年。なのに相手は車で自分は原付。

今までは原付に対して特に不満はなく、とても気に入っていたくらいです。

しかしその圧倒的な差、大人と子供の乗り物みたいな核の差を突き付けられた私は、心の底から嫉妬しました。

自分は格好つけて表には出していないつもりでしたが、一緒に廊下を歩いている時にHが機嫌をとってきました。

H「冗談だってぇ!ゴメン!そう怒んなって!」

私「別に怒ってねーし。俺だって来年ぜってぇ免許取るし」

H「なぁなぁ!今日さ、誰か誘ってドライブに行かね?」

私「子供はすぐドライブ行きたがるからなぁ。しょうがないから付き合ってやるか(強がり)」

その後私と同じクラスの女子のA子とC子を誘い、授業が終わった夜20時30分にHの運転でドライブに行く事になりました。

今でも忘れません。あの日は6月の21日でした。

 

車の運転をしているHは、左足だけあぐらをかくようにして、右足の下に足首から先をくぐらせる。

ハンドルを握る手は右手のみで、左ひじはひじ掛けに。

さも「何年も車乗っていて慣れています」という、これまで俺たちが散々見て来た先輩達の格好を真似ています。

その姿を見て私は余計に軽い怒りのような感情を覚えました。(まぁ嫉妬ですね)

A子「H君の車いいねぇ~!」

H「だろだろ! なぁ、これからどこ行く!?誰かどっか行きたい所ないの?どこでも連れてってやるよ!」

私「俺はどこでもいいよ。(軽くすねている。)」

 

若い頃、車を持っているってだけで女にモテたものです。

たまに聞く女子の会話でも「えっ、〇〇ちゃんの彼氏って車持ちなの!?」なんてセリフは五万と聞きました。

C子「どこも行くとこないならさ、心霊スポット行こうよ!」

まぁちょっと昔の人なら、若い頃、ドライブに行くってなったら大抵は心霊スポットにいったものですよね。

そうしてその時は特に怖がりの人もいなかったので、お決まりの心霊スポットに行く事になりました。

場所はC子だけが知っている心霊スポット。

どうやら車で片道1時間半くらいかかる山の方にあるそうなんです。

私の住んでいる地域は、特別都会という訳ではありません。

なのでその心霊スポットにいくにあたり、峠を走る必要がありました。

街頭はありますが夜なので峠の道は薄暗いです。そして他に車は一台も走っていませんでした。

私「なぁ、ちょっとスピード出しすぎじゃね?」

H「そう?他に車なんていないし大丈夫だって!」

メーターを見ると100キロはゆうに超えています。

直線ともなると、Hはやっと手に入れた車のせいで気が高まっているのか、120キロを記録。

車というのは、前に乗っているか後ろに乗っているかでは体感速度が全然変わってきます。

後ろに乗っているA子とC子は楽しそうに二人でおしゃべりをしていました。

最初のカーブになると、きちんと減速をしきれていないので、遠心力で車内全員の体が左右に振られます。

私「ちょいちょい、ホントにスピード出しすぎだって!」

H「んだよ大丈夫だって!」

Hは私の言う事には耳を貸さず、後ろのA子とC子も、たまに揺れる車内で楽しんでいる様でした。

 

そうしてまた長い直線があり、車はどんどんと加速していく。

やがて直線の先にある最初のカーブに差し掛かりました。

そのカーブにはカーブミラーが設置されていました。

 

 

そのカーブに差し掛かかった時です。

急に私たちの前に真っ黒の猫が走って飛び出して来たんです。

Hは黒猫をよけようとして驚いてハンドルをきりました。

しかしとにかくスピードが出ていたのでタイヤはスリップし、私だけは「うわあぁぁぁぁあ!!」っと叫び声をあげながら、そのままの勢いで路肩に突っ込み大事故にあいました。

その後、私は病院のベッドで目を覚ましました。

数か所の骨折・複雑骨折・何十針も縫う大怪我でした。

少しして落ち着きを取り戻したころ、母親にHやA子、C子はどうなのか聞きましたが、母親は「そんな事は気にしないで、とにかく今は体を休ませる事に専念しなさい」っとだけ言われました。

これはその後すぐに知る事になったのですが、Hとその後ろに乗っていたC子は即死。

私の後ろに乗っていたA子は意識不明の重体だったが、病院につく前に亡くなったという事を知りました。

私だけシートベルトをしていた事や、事故にあった形からして、幸いにも私だけは何とか助かったみたいでした。

 

その後事故に遭った怪我は半年ほどかかりましたが、後遺症もなく無事全快する事が出来ました。

そして翌年に高校4年になり(定時制は4年ある)、私は車の免許を取得する事になりました。

それはもう最初は親に反対されました。

ですが私はあれだけの大事故の経験もありますし、元々危険運転をする性格でもありません。

なんとか親を説得して車の免許を無事取得し、通学も車で行けるようになりました。

そんなある日の夜。

いつものように自分の部屋で夜寝ていた時の事です。

 

私は夢を見ました。

私は車の助手席に乗っており、誰かの運転で夜、ドライブをしていました。

外は少し雨が降っているようです。

どこか楽しいという感覚がありました。

そして何気なく隣を見ると、運転をしているのはあの亡くなったHでした。

その時は(あっ、Hじゃん)て思っただけで、彼が亡くなったという事は頭の片隅にもありませんでした。夢の中では事故の記憶すらない状態です。

後ろを見ると私の後ろにはA子が座っており、運転手側の後ろの席にはC子が座っていました。

みんな楽しそうに笑顔でおしゃべりをしています。

少しすると、後ろからC子の声がしました。

C子「心霊スポット行こうよ!」

H「おっ!いいね行こう!」

A子「いきたぁ~い!」

私はその時、どことなくデジャブのような感覚に襲われましたが、特に気にする事もなくみんなと心霊スポットに行く事になりました。

気付けば一瞬のうちに、私達が乗っている車は峠のような所を結構なスピードを出して走っていました。

その後長い直線道路を走っている時、外の景色を見ながら私は(なんだか気持ちがいいな)っと思いドライブを楽しんでいました。

スピードはぐんぐんと上がっていきます。

体感では140キロくらいはありそうです。

やがて車のエンジンはウィィィンっと高回転の音を発し出しました。

それが聞こえた瞬間、なぜか私は一気に恐怖に包まれました。

私「怖い・・・・」

前を見ると、この先にはカーブがある。

カーブが近づいてきているのに、Hは一切減速をしません。

カーブが近づき、このままのスピードでは間違いなく危険なので、私はさすがにHの顔を見ました。

視線を向けると、運転をするHの顔は真っ白で、さっきまで元気だったのにまるで死人のような顔をしていました。

彼の目には一切の生気を感じません。

そして猛スピードのままカーブに差し掛かろうとした時、私は直感的に「これじゃ絶対に事故に遭う」っと察し、何を思ったのか車のドアを開けて外に飛び出そうとしたんです。

 

そしてドアノブに手をかけた瞬間、急に後ろから肩を「ガシッ!」っと強く掴まれました。

驚いて振り返ると、そこには身を乗り出して私に思いっきり顔を近づけた状態にある、C子らしき人が目の前にはいました。

顔は、人間の形、原型を半分程度残したくらいで、血まみれで片目は飛び出していました。

そう、目の前にいるのは事故にあったC子だったんです。

C子は私の肩を思いっきり掴み、身を乗り出した状態で私に向かってこう叫んできました。

 

C子「またお前だけ逃げるつもりなの!?今度は絶対逃がさないんだから!!!」

そう言われた瞬間、私の心臓は裂けそうなほどの大きな鼓動をうちました。

車はそのままカーブを曲がり切れず、まるでスローモーションのように、車は遠心力でゆっくりと片輪が地面から離れ、車体は回転を始めています。

その時、私は車のヘッドライトに照らされた先にある、カーブミラーの下に一人の髪の長い女性らしき人を発見しました。

その女性をよく見ると、女性のお腹には見た事が無い数人の人間の顔が埋まっていました。

そしてその女性はゆっくり、私たちに向かって、感情がこもっていないような拍手をしていました。

私「なんだあれは・・・怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い」

さらにその姿に釘付けになっていた私は、あるもう一つの異変に気が付きました。

その女性らしき人がやっていた、拍手の形がおかしいんです。

なんと言いますか、逆なんです。

普通の拍手をしているように見えるが、その女性は手の甲をぶつけて拍手をしていました。

 

やがて車は路肩に突っ込み、衝突する瞬間に私は夢から覚めました。

全身は汗だらけで、とても生きた心地がしませんでした。

心のそこから「夢で良かった。本当に良かった」っと思いました。

落ち着きを取り戻した頃、何気なく携帯を見ると、6月21日の23時59分でした。

友人達は、車の免許を取得した私に、「事故に気を付けて」というメッセージを送りたかったのでしょうか。

それとも「この道は来てはいけない」と言いたかったのでしょうか。

私は必死にそう思うようにしています。

なぜなら、あの夢の状況を考えたら良い意味がある夢だとは思えないからです。

本当は、彼らはあの時、何かに引っ張られるように亡くなったのか・・・

明らかにこの世のものではない、あの不気味な女性の姿、手招きは一生忘れられません。



洒落怖くん洒落怖くん

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